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かつてゲーオタだったかもしれない人の日記

メダロット8:中編

前編に続いて中編です。

中編は語りだすと長くなることでおなじみのストーリーやキャラクターなどのシナリオ関係についてです。

まず舞台や世界観ですが今作は完全新作で過去作とのストーリー的なつながりは一切ありません。もちろん「メダロットが存在する世界」における基本的な設定は同じですが、過去作のキャラや地名などは登場しません。

今作の主人公はソルトというメダロット探偵になったばかりの少年で。彼と仲間たちが世間を騒がせる怪盗ジルに関する事件を追っていくというのがメインストーリーの流れです。ここで「メダロット探偵」って何ぞや?という疑問がわきますがとりあえずそれは後回しにします。

毎回次のターゲットに関する予告状を送ってくる怪盗ジルと、それを推理しジルの目的を阻止しようとするソルトたちという構図は探偵VS怪盗という推理小説やマンガにおける定番でしょうが、それをメダロットに持ってきたのが見どころでしょう。

ゲーム的な味付けとしてはところどころで集めた情報から推理するシーン…といいますか選択肢を選ぶシーンがありまして、そこでの結果によって章クリア時の報酬(お金)が変わってくるという風に取り入れられています。別に間違えてもストーリーが分岐するとか報酬以外にデメリットはありませんが、全体的に所持金が不足気味(特に序盤)なので正答率が高いに越したことはありません。まぁぶっちゃけそんな大した推理要素でもなく、普通にセリフ見てれば分かるレベルの物ばかりですし。

というわけで前編でも少し触れましたが今作はシナリオ・ロボトル双方で探偵要素がテーマとなっております。

世界観を一新しての今までにないテーマとなると期待したいものですが、その評価を単刀直入にいいますと…

もうちょっと何とかならなかったのか

こういう厳しめの言葉が出てしまいますかねぇ。


なぜそういう評価になってしまうのかといいますと、ストーリー上でところどころ不自然に見える展開が多いのがその最たる理由です。何といいますかストーリー展開が「見せたいシーン」ありきで構成されていて、そこに至るまでの流れや世界観がムチャクチャに見える場面がかなり多いのです。というわけで以下に列挙。ストーリー上のネタバレも若干ありますがまぁもう発売から時間もたってますしいいでしょう。

・1章
地下廃線へ逃げた怪盗ジルを追う場面ですが、地下に入ったところで突然野良メダロットが現れたせいで局長のローレルがケガをしてしまいます。それは百歩譲っていいとしまして、そこで先輩のセージとアニスが2人ともローレルを病院に運ぶため離脱してしまうのです。
いやいや、ちょっと待てよ。ローレルを運ぶのはいいですが、だったら作中で力仕事担当のセージ1人でも十分で、他にセレクト隊もいるのにヒロインのアニスが付いていく必要はないでしょう。むしろ新人のソルト一人でジルを追う方が不安なわけで、アニスは立場的にもこっちについてくるべきでしょう。「ソルト一人でジルと対峙」というシーンのために1章からこんな具合です。


・2章
絶滅寸前の動物モングと言葉を交わすことができるというメダロットのユーカ。
実は言葉が通じるのはその地方に古くから伝わるネックレスのおかげなのですが、ジルによってネックレスが奪われたことで言葉が通じなくなりユーカは落ち込んでしまいます。ソルトたちの活躍でネックレスは戻ってくるものの、ヒビが入ってしまった事で効果は失われてしまいますが、長年一緒にいた2人はそんなものが無くても気持ちが通じ合っていたというそれ自体はハッピーな結末です。
…これネックレスの必要性はどこにあるのでしょうか。
辛い境遇にあったモングと長年一緒にいたのであれば言葉や種族が違っても気持ちが通じるというのはそれだけで十分説得力はありますし、メダロットの世界観的にもごく当然ではないでしょうか。
それだけに最初ネックレスの効果で言葉が分かっていたという展開も疑問ですし、言葉が通じなくなって一同が焦るシーンにも違和感を覚えるのです。2人の信頼関係なら最初からネックレスなんてなくても問題ないでしょうに。


・3章
動力もなく動き続ける時計塔を整備し続ける芸術家と彼を支えるメダロット。
ところがジルによってゼンマイが盗まれてしまい、ソルトたちはゼンマイを取り返して元に戻すものの時計は動かなくなってしまいます。一連の出来事やこれまでの真実を正直に町の住民に話す芸術家に対し、町のシンボルが失われてしまったどうしてくれるんだと非難する住民たち。そこで芸術家のパートナーであったメダロットが自分を犠牲にして時計塔の動力となります。

これもこの文章だけだとそれほど不自然はないように見えるので問題となる詳しく状況を書きますと、

「時計塔が動力も無いのに動き続けていた原因は(少なくともこの章の時点では)結局不明」
「メダロットが代わりの動力となる仕組みも不明」
「メダロット曰く自分が代わりとなって動くのはもって数か月」
「その間に次のシンボルを作るなりしてほしい」

犠牲になったメダロットのおかげで再び時計は動き出し、メダロットは時計と共に町を見守りながら生き続けるのです…というのならともかく、止まった(動いていた)理由も不明、具体的な解決策も無し、引き延ばせるのもわずか数か月、こういうのをムダ死にって言うんですよ。
また何が酷いって非難している住民のほとんどが老人で、それも「町のシンボルが無くなって生きていく気力を奪われた!」「アンタらも怪盗を止められないで何が探偵だ!」などとのたまってロボトルをけしかけてくる(マジで)クソ老人ばかりです。大体命に関わる施設ならともかく時計塔で、今まで恩恵受けてきたのですからお前らで何とかしろっーつーの。

こんな老害どものためにこれまで孤独だった芸術家を支えてくれたメダロットが犠牲になる必要が一体どこにあるのでしょうか。
むしろ彼が結果的に住民を欺き続けていたことを後悔している今だからこそ、今後誰よりも支えてあげなくてはいけないのに。
これまでの流れから件の老害どもが数か月経ったらまた芸術家を非難して被害者面する姿がありありと浮かぶだけに余計腹が立ちます。

これも結局は「メダロットが自分を犠牲にして時計塔の動力となる感動的なシーン」(笑)のために相当やらかした結果でしょう。


・5章
おいおい5章ということはまだ半分ですよ(苦笑)
怪盗ジルの予告状に記された「光り輝く乙女像」を守るため海底都市へやってきたソルトたちは、そこで亡くなった娘を模った乙女の像を作り続ける彫刻家の元を訪ねます。彼には亡くなった娘以外にもう1人女の子がいますが、その娘は父親が亡くなった姉に執着して自分を見てくれない事に複雑な思いを抱いています。

多数の同じ像の中で一つだけ暗い中でも光る乙女像を見たソルトたちはこれが今回のターゲットだと確信し、それをジルから守り切るためにあるアイデアを出します。
そのアイデアとは「街中に同じ像を並べればどれが本物かわからないだろう」というものです。…木を隠すなら森の中という例えが出てきますが、要はアトリエの中だと電気を消したら一発で本物がバレるので街中にばら撒こうという作戦らしく、ご丁寧に全員で何度もアトリエと町の各所を往復して運びます。しかも等身大の乙女像を車やリヤカーを使わずにですよ。
なお夜になったら自然と光って本物がばれるのと、彫刻家本人の希望もあってその前には回収するとの事です。

うん、メダロット探偵ってアホですね!(ニッコリ)

暗くなってバレるんだったらわざわざ街中に苦労してばら撒かないで庭にでも並べておけばいいでしょうが。回収して家に戻すのならその方が手間もかかりませんし。全部持ってかれたらどうすると言っても、そんなの街中にばら撒こうが変わりませんし、光るのが問題なら暗幕でも被せられたらどこでも一発です。
なお結局怪盗ジルの一味には夜を待つまでもなく、海底都市の電力供給施設を止められて街の明かりを消すという方法で突破されてしまうのでした。意味ねー。

で最終的にはすったもんだの挙句光る乙女像が地面に落ちて割れてしまうのですが、その結果彫刻家は残された妹の方にちゃんと目を向けるようになり、像は壊れてしまいましたが父子のわだかまりは解けてめでたしめでたしとなります。
もう分かると思いますが、この章で見せたかったのはこの「乙女像は割れるもののそのおかげで父子の絆は元通りになる」シーンであり、このためにわざわざ街のあちこちに乙女像を運ぶというソルト考案の迷アイデアが採用されたようにしか見えません。


・6章
自分の恋人が事故で意識不明になってしまったのはメダロットのせいだと思い込み、以後メダロットを憎むようになってしまったある研究員。メダロットをこの世から消し去ってやるくらいの彼の暴走ぶりに対して、疑問に思ったソルトたちが情報を集め真相を伝えますが彼は一向に聞き入れてくれません。ところが恋人が意識を取り戻した瞬間、それまでの憎しみは一体どこへやら温厚かつ協力的な以前の姿に戻ります。

…あのですね、同じオチに持っていくにしても順序ってのがあると思うのですよ。

例えば、
ソルトたちが真相を伝える→研究員「ホントは自分でもメダロットに責任はなく、ただやり場のない怒りをぶつけていただけだと理解していたんだ」と心情を吐露→そこで恋人が意識不明から回復
回復した恋人に言われて改心するか、それとも彼自身が改心の兆しを見せたところで恋人が回復するか、ちょっと順番を入れ替えただけで印象はガラリと変わると思います。
恋人が意識を取り戻したのもパートナーメダ(メタロク)が語りかけたからという説得力の薄い理由よりも、研究員が意識不明の彼女の手を握って涙を流すとかの方がよっぽど説得力も出ます。ついでにそこへ至るまでにソルトたちが恋人の意識を回復させる方法を探したりすればより探偵らしくもなります。


・8章
ソルトの母親は復活したラスボスの攻撃からソルトとパートナーを庇い、ラスボスの黒いオーラによって倒れてしまいます。
何でもラスボスを研究していた過去の研究者たちもこの黒いオーラによって意識不明のまま衰弱死していったとのことで、具体的な回復方法は現在でも見つかっていないとのこと。母親を看病するソルトに代わって、パートナーは一人治療方法を探して今までに訪れた人々のもとへ向かいます。

ここのポイントはパートナーがマスターであるソルトのために自発的に行動するという部分でして、ゲーム開始当初のパートナーからは想像できなかった「成長」を感じさせてくれる場面です。

でもね、そのために唐突に「黒いオーラ」なんていう過去作でも存在しなかった都合のいい設定を放り込んでくるのは先生感心しませんな。これも庇って大ケガではパートナーが一人で情報収集するシーンを描けなかったからに見えます。


・9章
突如ロボトルウォーズなるトーナメント大会を提案するラスボスと、それを素直に受け入れて参加するメダロッター達。
ラスボスはまだ余興とかで理解できなくもないですが、ソルトたちやセレクト隊、他メダロッター達はラスボスに一丸となって対策を練るべきなのに何バカ正直にトーナメントで潰し合いしてるのでしょうか。アホか。
あまりにも強引すぎるトーナメント展開ですが、おそらく準決勝でのローレル戦でお約束の「弟子が師匠を越える」シーンのためだけだと思われます。

そしてラスボスの黒いオーラの攻撃を受けたことで徐々に石化していくパートナーにはもうどこからツッコんでいいのやら…。
スラフシステム(パーツ自動修復機能)があるのに何でだよ!
石化していってるはずなのに普通にパーツも換装できるじゃねーか!!
そもそも石化とかそんな状態異常、過去作はおろかアニメでも漫画でもメダロットの世界で存在したことねーよ!!!
つーか今作の中ですらクライマックスにきて初耳だわ!!!!

「ラスボスを倒すもパートナーは石化、しかしソルトの願いが通じ石化は解けて大団円」
これをやりたいがために設定も伏線も整合性も全て無視するこのストーリー展開こそ、今作における「見せたいシーン」ありきの最たるものではないでしょうか。



もうちょっと何とかならなかったのと思わせるのはストーリー展開だけではありません。
登場人物の性格や動かし方、設定のあちらこちらにもプレイしていて疑問を感じてしまいます。

主人公のソルトはメダロット探偵だった父親の死をきっかけに自分もメダロット探偵を志し、終盤でその父親の死についてのエピソードが語られます。
端的に言うと「強盗に爆弾を括りつけられ、捨て駒に利用されたメダロットを庇って死んだ」というものです。おそらく「自分の身を犠牲して他者を守る正義感の強い人物」として描きたかったのでしょうが、メダロット自体の耐久力や見ず知らずのメダロットという点を考えると今ひとつピンときません。庇うのがパートナーなら理解できるのですが、これだと後に残される家族の事も考えないただの命知らずという印象の方が強いです。別に庇ったメダロットがストーリーに絡むとかも一切ありませんし。

そしてソルトもまたなぜそのエピソードでメダロット探偵になろうと決意したのか、プレイヤー的にはどうも理解しがたいです。普通にメダロット探偵として優秀だった父に憧れてではダメだったのでしょうか。


そもそもこの世界における「メダロット探偵」というのは一体何なのでしょうか。
字面からするとメダロット絡みの事件を専門とする探偵のようで、本編における怪盗ジル絡みの事件は全てそうです。
…それってセレクト隊で十分なのでは?実際セレクト隊も怪盗ジルを追って事件の際一緒に行動していますし。といいますかセレクト隊が役に立たないのならMMFがいるだろMMFが。迷子のメダロット捜索から警備、助っ人に試作品のテストまで幅広くこなす精鋭部隊のMMFが。

そして実際にソルトたちがゲーム内で見せるメダロット探偵としての行動はといいますと、町の人や関係者に聞き込み調査→推理して犯行を予め阻止…ってそれ普通の探偵とどこが違うのでしょうか。

結局「メダロット探偵」というのが作中においてどういうポジションの存在なのかがはっきりせず、ただ単にメダロッターの探偵というのをそれっぽく言い換えただけでしかありません。

まぁ別にメダロット探偵というのが普通にメダロッターの探偵でもいいのですが、それならそれで探偵らしいところを見せてもらいたいもの。しかし新人のソルトはまだしも、先輩のセージや局長のローレルもあまり頭脳派に見えないから困ったものです。

ローレルは事務所の椅子に座ったまま序盤から「君たちならどんな難事件も解決できます」と言うばかりで終盤まで捜査の手伝いもアドバイスもくれません。教えてくれる事といえば、ねらいうちやがむしゃら、メダフォースやコンボといった新しいロボトルテクニックばかりで、使用メダロットと相まって熟練メダロッターとしての面ばかりが目立ちます。
先輩のセージの活躍どころは重いレバーや岩を動かしたりと完全にパワー系。極めつけはこちらの手の内を読む相手に対して「いつも通り何も考えてなければ手の内も読めないだろ!」という脳筋丸出しのセリフと対抗策。彼でもなれるメダロット探偵って何だろう。

一応擁護しておきますとソルトをはじめとする仲間たちは全然嫌な奴ではありません。
ソルトは年齢の割に落ち着きすぎているのが気になりますが、家族や仲間、そしてパートナーを大事にする主人公です。
パ―トナーは当初ソルトの命令に従いつつ、人間の感情や行動を理解不能とことあるごとに疑問を投げかけますが、ストーリーを通じて他人の気持ちを理解し成長していきます。
ヒロイン第一候補のアニスも探偵として有能さを発揮する場面は特にありませんが、普通にいい子です。
セージも脳筋ではあるもののイベントの会話から感じ取れる人となりはまさに気のいい兄ちゃんです。
ローレルだって自分から率先してラスボスの突破口をソルトたちに示したりと師匠ポジションとしては及第点です。

メインキャラは行動や思考に若干アホなところはあれども不快に感じるところはほとんどありませんし、彼ら自身の人間関係も悪くないです。
ただし怪盗ジルの正体や動機はその後を考えると正直かなりいただけません。まわりくどい方法で迷惑かけすぎなうえに、下手すればマッチポンプでローレルが廃業に追い込まれてもおかしくないくらいです。その事についてクリア後もソルト達が一切ノータッチなのも違和感バリバリ。



長々と書いてきましたが結局のところ根本の問題は「探偵」というテーマを掲げながらもそれにふさわしいキャラが存在しない事であり、ひいてはそういうキャラを描けず、場面場面で都合のいい動かし方しかできなかったシナリオにあるのです。

過去作のキャラに頼らず、キャラや世界観を一新という試み自体は個人的には大歓迎なのですけどね。
それも含めて「もうちょっと何とかならなかったのか」という評価なのです。

今作では北島行徳という方がシナリオライターとして関わったようですが、個人的にはDS・7の手塚一郎氏といい外部の人にシナリオ依頼するのはもう止めて欲しいと思います。

DUALの時は特にクレジットされていなかったのでおそらく内部スタッフだとは思うのですが、シナリオを見比べてみるとDUALの方が圧倒的にメダロットの世界観というものを理解していると感じましたもの。プログラマーでもグラフィッカーでも構いませんが、内部で開発に携わっているスタッフの方が絶対わかってますって。

というわけで中編はおしまいです。

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