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かつてゲーオタだったかもしれない人の日記

THE 裁判員

ついさっき「THE 裁判員」終わりました。
ネタバレもそれなりに含むので感想は続きにて。
このゲームでは法廷で得られた情報を元に他の裁判官・員を説得して正しい判決を導くというのがゲームの流れですが、以前書きましたようにその際思い切りヒントが出ますのでよほどヘマをしない限り失敗することは無いと思います。
さすがに全員の説得率を100%にしようとすると若干骨が折れますが、一度クリアしたシナリオは一気に情報取捨・説得の場面までスキップできるので再挑戦も簡単です。

基本的にプレイヤーのできることはそれだけです。このためゲーム的なアドベンチャー要素は非常に低く、ほぼデジタルノベルと分類してもおかしくないくらいです。

そもそもこのゲームは真犯人を見つけ出したり謎を解くのがメインのアドベンチャーではないのです。もちろんストーリーの展開上そういう流れもありますが、あくまで裁判を進めていく過程で付随する結果に過ぎません。作中で五條やヤマヤマも言っていますが、それは別の(警察や探偵)の方の仕事です。

アドベンチャー及びノベルゲームとしてのシステムまわりは少々荒さが目立ちます。
箇条書きにしていきますと

・バックログが見られない
・一度ゲームを始めると電源を切らないとタイトルに戻れない(タイトルからしかサウンドテストや人物辞典が選べない)
・ほぼいつでもセーブできるにもかかわらずロードが「チェックポイントから」という点。これならいっそチェックポイントごとのセーブでいいと思うのですが。
・被告人や証人への質問をスキップできない。裁判員たちの説得はスキップできるのに。

といった部分が目に付きました。

それとせっかく裁判という題材を扱っているのですから、有罪・無罪の正解が一つでなくても良かったかもと少し思ったり。過去の遠藤さん作品で言いますとリップのLIPやメタモルⅤのALISのような「この場面で自分ならこう答えるのに」というアレですな。ただこれ採用すると裁判内容によっては後味悪い結末になってしまいそうですから止めたのかもしれませんね。


さて、最初はクリアしてから少し時間を置いて感想を書こうと思っていたのですが、実際はこうしてクリアしてすぐに書いています。その理由の一つとしては結局のところ第一印象と同じようにゲーム的には取り立ててみるところはなく、改めて整理するまでもないというのが正直なところでしょうかね。
しかしそれは大して重要な理由でもありません。


一番の理由はこの作品のストーリーを読み終えて感じた事を、できる限り純度の高いうちに書き留めておきたいからに他なりません。今後他の方の感想やレビュー、遠藤さんのインタビューなどを見る機会もあるでしょうがそれからではダメなのです。いったん睡眠を取ることすら私の中の私が許していません。

この作品は裁判員という制度をテーマとしていますが、それは同時に人を裁くことをテーマにしているわけであります。

人を裁く…有罪か無罪、有罪の場合は処罰の度合いを決めます。
それは時には死刑という判決を下すことさえあるのです。
死刑に賛成・反対かは個人の意見ですし、この作品中でも遠藤さんから言及はされていてもどちらが正しいというメッセージは含まれていません。

大事なのは人を裁くという行為の重さ、そして裁判員という司法の専門家でない、平たく言えば一般人にもそのような権限が与えられるということです。

もし仮に自分の大切な人、あるいは自分自身が殺されたとします。
そしてその結果犯人が裁判にかけられるとしたらあなたはどう思うでしょうか。
無期懲役、あるいは死刑といった厳罰を求めるでしょうか。

それも一つの考えでしょう。
でも中には裁判なんてどうでもいい、とにかく相手にも同じ苦しみを味あわせてやりたいと考える人もいるかもしれません。ある意味これはとてもストレートでもっともな考えです。

それでも法治国家日本において罪を犯した人間は法廷で裁かれるのです。
そして自分ももしかしたらそこに裁判員として参加する可能性もあるのです。

作中ではヤマヤマの嘘を見抜いてくれる能力のおかげで正しい判決へと導くことができます。
しかし現実には五條のような幽霊裁判員も、ヤマヤマの嘘を見抜く能力も存在しません。そして基本的に判断材料は法廷で得られるものが中心です。
だからこそ人を裁くことの重さを理解し、判決を下すことに対して慎重でなければならないのです。

作品のために裁判所に通いつめ制度を勉強した遠藤さんはもちろん、現場の人たちですらこの裁判員制度の施行によってどうなるのか見当が付かない状態だといいます。
そんな制度に対してたかがゲームをプレイしたくらいで全てが理解できたなどとは口が裂けてもいえません。ですが、「裁判員として裁判に参加すること」の覚悟といいますか心構えくらいはほんの少しだけですが学べたような気はします。

ストーリー及び裁判員制度について私の感じたことは以上です。
遠藤さんなりの前向きな結論もあるキャラのセリフを通じて伝わりました。


音楽は重厚な曲が多いながらもいつもの宮内さんらしい、決して前に出すぎずに場を盛り上げるという、旦那さんのシナリオをよく理解された曲ばかりだったと思います。
ただ「タイトルバック」という公式サイトでも流れている曲だけはその限りではありません。
これを聴いていると存在しないオープニングアニメが頭の中で鮮明に描かれるくらい、イメージがはっきりと伝わってきました。曲の締めで背中を向けた五條が法廷の扉を開く姿までイメージできましたもの。

キャラについて。
全5話の割には毎回入れ替わる裁判員や被告・証人のおかげでこのゲームには総勢60人以上のキャラクターが登場するのですが、それでもキャラの強い連中が多くて楽しめました。
敢えてそのキャラの日常を描かず、やりとりを基本裁判所内だけに限定したのが効果的だと思います。そのおかげで人物辞典の裏設定(といってもどういう仕事をしているとかそんな程度のものですが)もキャラの日常生活を想像するのに一役買っています。
全体的に男女キャラの顔グラの格差が大きいのは気になりましたが。

好きなキャラはたくさんいますが、個人的には加勢検察官が一番お気に入りですね。
全5話中彼が担当の裁判を無罪へと導くシナリオが2話あります。検察は求刑する側なのでプレイヤー的には彼は敵です。そして彼は素人である裁判員を信用していません。

つまりプレイヤーにとって彼は「ゲームのクリア目的」と「裁判員」という2つの意味で対立する存在というわけです。

それだけに彼の立場・心境の変化には感じるものがありましたし、何より終盤でのあるセリフ(「アテにさせてもらうぞ!裁判員!」←白文字反転)には胸に込み上げるものがありました。


といったところで思ったこともほぼ書き尽くしましたかね。
裁判を題材にしたアドベンチャーを求める方にはまったくオススメしませんが、人を裁くということに対して真正面から向き合ったストーリーは一見の…いや、もし興味を持たれたのならば最後まで見届けてください。絶対に損はさせないと私が保証します。

遠藤さんのコンシューマー復帰作「THE 裁判員」
これにて閉廷です。

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